高山圭太の場合8

「それじゃ、お留守番よろしくな」

「いってらっしゃい」

「あ、ご飯冷蔵庫にあるからな一緒食べられなくてごめんな」

「ううん大丈夫。お父さんお仕事がんばってね」

慌ただしく仕事へ向かうお父さんを見送る。

まだ完璧とはいえないけど、僕たちは少しずついつもの日常を取り戻していくことができた。

学校にもまた通うようになった。万引きのことを知っている人もいるから、クラスのみんなとは最初少し気まずかったけど、すぐに元通りに接することができるようになった。たぶん。

お父さんは新しい仕事を見つけた。2つの仕事を掛け持ちしているらしい。

毎日昼に仕事にいって、夜帰ってきて、夜遅くにまた仕事にいって、朝帰ってきて少し寝て、また昼の仕事にいく。

仕事が忙しいみたいで一緒に過ごす時間はあまりないけど、いっぱい働いてるからご飯が豪華になったりとか、悪いことばかりじゃない、かな。

お母さんは重い病気になって入院してしまって、今も意識がなくて感染症対策で面会すらできない。「いっぱい心配かけてごめんなさい。僕は元気になったからお母さんも元気になってね」って手紙を書いて、お父さんに病院へ届けてもらった。

早くお母さんに会いたい。お母さんが元気になったら、僕たちはようやくまた普通の家族に戻ることができる。これからはもっとお手伝いもして、休ませてあげようと心に決めている。

本当に色々なことがあったけど、それを乗り越えて、我ながら一回り成長できたのかなと思う。

だって僕は、他の誰でもない、自分の力で八尺様という怪異に打ち勝ったんだから。

僕がおかしくなってしまったのは、我慢のし過ぎのせいだった。イケない呪いのせいで、僕は射精のことしか考えられなくなって狂ってしまった。思い出してとても恥ずかしくなる。

正直記憶が曖昧になっているところもあるんだけど。お父さんの眼の前でセックスするなんていう、おかしな夢も見たりしたっけ。

本当だったら、八尺様の狙い通り家族がバラバラになっていたんだろうと思う。でも違った。僕は特別だった。それがお姉さんの誤算だ。

お姉さんは僕の精液が欲しすぎて、僕をあっという間にイかせてしまう。お姉さんは僕とのセックスにハマりすぎて、金玉が空っぽになるまで射精させてくる。だから僕は少しずつ正常な思考を取り戻すことができた。

相変わらず僕は毎日毎日お姉さんとセックスしているわけで、イケない呪いも解けてはいないけど、八尺様は僕がセックスしてあげれば誰にも悪さをしない、おとなしい怪異になった。

僕はもうおかしな行動はしなくなって、これまでのやばい行動をしっかりお父さんに謝ることができたし、僕が八尺様を手懐けてると説明したらお父さんは納得してくれた。

大変なことを乗り越えて、改めてわかったことがある。それは「僕はお姉さんのことが好き」ということだ。

いや……前から好き……だったけど、それはエッチな意味で好きだったっていうか……。あくまでもエッチな気持ちのはけ口としてしかお姉さんを見ていなかったと思う。

今は金玉が空っぽになったあとでもずっと好きだし。エッチな気持ちじゃなくて、いつでもそばにいたいと思うようになった。

それに、お姉さんも僕に夢中だ。

前みたいにいじめてくることはもうないし、とにかく素直に僕を受け入れ、求めてくれる。

甘い声で僕を求めるお姉さんはとても可愛い。「もっと」ってねだる切なそうな顔も可愛い。イってるときのぐちゃぐちゃに崩れた顔だって、僕なら受け入れてあげられる。

とにかくその、自分で言うのは恥ずかしいけど、彼女は僕にメロメロで、僕は彼女にメロメロで、つまり僕たちはラブラブだ。

この前は学校のトイレでセックスしまくった。いつもと違う場所というのもあるけど、他の生徒が授業をしている中でするのはマジで燃えた。

お姉さんとのセックスがどんなに気持ちいいかなんて、クラスの誰も知らない。お姉さんと比べれはクラスの女子なんて魅力のかけらもない。

お姉さんは八尺様という怪異で、人間じゃない。それはわかってるけど、僕たちにはそういう壁も関係ない。人間のカップルは毎日金玉が空っぽになるまでセックスはしないから、それ以上の結びつきだ。

お父さんとお母さんは僕が八尺様と結婚するなんていったら反対するかもしれない。でも、八尺様の脅威を抑えられるのは僕だけなんだから、僕は他の人と結婚するわけにはいかない。

ああ、そろそろお姉さんがくるころかな。その前にご飯を食べなきゃ。

冷蔵庫には鰻に生牡蠣が盛りだくさんだった。僕が前に欲しがってたのをお父さんは覚えていてくれて、最近はよく食べさせてくれる。

精液の量を増やすのにいいってネットに書いてあったから必要なだけで、実はあんまり好きじゃない。でも、お姉さんが欲しがる精液の量がどんどん増えてて……。だからお姉さんのためにも頑張って食べないと!