高山圭太の場合4

八尺様、それがお姉さんの名前。

あれから色々あって、今はお父さんと一緒に、おじいちゃんちにいる。

おじいちゃんからたくさん話をきいた。お姉さんや白いおしっこのことが、全部はわからなかったけど、いろいろわかった。

僕がおじいちゃんちであったお姉さんは、「八尺様」という妖怪のようなものらしい。僕のような、精液(白いおしっこのこと)が出せるようになった男の子の前にあらわれて、精液を独り占めするために連れ去ってしまう。そして連れ去られた男の子は二度と戻ってこないのだという。

実際に昔、お父さんの大切な友だちが八尺様に連れ去られてしまったらしくて、だからお父さんはすぐに僕が八尺様に魅入られてしまったことがわかったそうだ。

お父さんとおじいちゃんは、怖かっただろう、よく頑張ったと、僕を励ましてくれた。そして、僕を八尺様から守ると約束してくれた。

僕は黙って頷いた。確かに怖かったし、気を失うほどシコシコして金玉をこんなにしてしまった恥ずかしさを全部おばけのせいにできるとおもったから。何より、お母さんやお父さんに二度と会えなくなるなんて絶対に嫌だ。

僕は正直に「あったこと」を全て話した。初めてお姉さんに会ったとき怖い思いをして、精液を漏らしてしまったこと、シコシコするように命令されたこと、イケない呪いをかけられたこと。そしてたくさん酷い言葉をかけられたこと。

お父さんはすごい悔しそうな顔をして肩を震わせていた。それから僕を抱きしめて「お前は本当に強いな。もう大丈夫、大丈夫だから」と背中を擦ってくれた。

だから……本当はまだ心のどこかでもう一度お姉さんに会いたいと思っていることは話せなかった。

それでいいんだ。お姉さんに会いたいと思ってしまうのも、お姉さんのことを考えるだけで胸が苦しくなるのも、お姉さんに酷いことを言われるとちんこが固くなってしまうのも、全部、おばけのせいなんだから。

そう自分を言い聞かせていると、おじいちゃんは大切なことだからと念を押したうえで、恐る恐る「じゃあ、まぐわっちゃいないのか」と聞いてきた。まぐわうというのは、女の人のアソコに固くなったちんこを入れることらしい。アソコの中で精液を出すと赤ちゃんができるというのだ。

人間が女の人のアソコから生まれてくるのはなんとなく知っていたけど、ちんこをいれる穴でもあるなんて信じがたかった。でも、これまでよくわからなかった、ちんこが固くなる理由とか、映画で男の人と女の人が裸になってベッドで抱き合ってるシーンとか、動物が腰をふる交尾の映像とかが全部つながって、すぐにそれが「セックス」のことだとわかった。

僕はまぐわってないと答えた。するとおじいちゃんは気の抜けたようなため息をついて「よかった」と繰り返した。

八尺様は標的の精液の味を覚えないと自力では標的を探せない。一晩逃げ切れば興味を無くして標的を変えると伝承に有り、それで呪いもきっと解けるということを教えてくれた。

八尺様から逃げ切る方法をおじいちゃんが説明してくれている間、僕は自分のちんこが八尺様のアソコに入ることを想像してしまっていた。あのやらかそうなカラダにちんこが埋もれることを考えると、今までにないくらいにちんこが固くなるのを感じた。

今まで感じていたシコシコしたい・イキたいという気持ちは、全部「お姉さんとセックスしたい」って気持ちのことだったんだ。それがわかったことが嬉しいようで、金玉がまたイク準備、いや、お姉さんとセックスする準備を始めてしまったようだった。

連れ去られたお父さんの友だちは、お姉さんとセックスしたのかな……。

お姉さんが僕以外の人とエッチなことしているのを想像すると、真っ黒な気持ちが膨らんで頭がクラクラした。

だめだ、これじゃ八尺様の思うツボ。あいつは僕を連れ去ろうとする悪い妖怪なんだ。

僕にはもう関係のないこと。今は目の前にお父さんたちがいてシコシコする気も起きないから、これ以上おかしくならずにすむ。

八尺様を諦めさせるために今晩またあの部屋で1人で寝ないといけないらしい。八尺様に脅されても、決して襖やガラス戸を開けてはならないと言われた。

八尺様は部屋に入れなければ何もできないし、お父さんたちに直接危害を加えることもできないから、どんな脅しにも応じてはいけない。それから、お父さんたちは絶対に声をかけないから、朝日が登るまで絶対に部屋からでないようにとなんども念を押された。

大丈夫。今までさんざんもてあそばれたけど、もう思い通りにはさせない。お姉さんに悔しい思いをさせて、諦めさせてやる!