高山圭太の場合9

精液が足りない……。

お姉さんに結婚の約束の話をしようと意気込んだのはいいものの。その日、僕はお姉さんをまたがっかりさせてしまった。

僕の精液でイッている間にサプライズでプロポーズすればOKしてくれると思って。でも、イかせることすらできなかった。

ううん、本当はそういうズルをせずにちゃんとお互いの気持を確かめ合ってからセックスしたかったんだ。でも、ここ数日はお姉さんをがっかりさせてしまっていて……。

お姉さんはすこし残念そうにはするけど、僕を責めたりはしない。お姉さんは意地悪なことは言わなかった。

落ち込みを隠せない僕を見て、お姉さんが珍しく少し言いにくそうにしながら、あることを教えてくれた。

お姉さんの母乳には不思議な力があって、それを飲めば精液がたくさん作れる身体になれるのだと。

お姉さんの胸を吸うなんて、すこし、いやかなり恥ずかしいけど、お姉さんのためならできると思った。でも話はそれで終わらない。

精液を作るのが止まらなくなるから、もう学校にはいけないし、少し前みたいに射精のことしか考えられなくなってしまうと。 それ以上の問題もある。精液が無限に作れるということは、身体の栄養がすべてを精液にかわるということで、つまり、これ以上成長することがなくなって、大人になれなくなるというのだ。

それならやっぱりだめだ。頑張っていっぱい食べて精液を作るしかなさそうだ。大人にならなければ結婚はできないし。

すこしがっかりしていたら、お姉さんはこう言った。

「そしたらずっと一緒にいられるね」

はっとした。僕たちは同じ気持ちだったんだ。お姉さんだって僕と一緒にいたいんだ。

お姉さんがこの話を言いにくそうにしていたのは、告白するのが恥ずかしかったからなんだ。なのに僕は自分のことばっかり考えていて、情けなかった。

もっと早く気づいて、僕からプロポーズすればよかった。

お姉さんは怪異なんだ。だから普通である必要なんてないんだ。大人になれなくたって、結婚できなくたって、ずっと二人で一緒にいればいい。

そりゃ悩まないわけではないけれど、悩みを見せたらお姉さんが傷つく。どれだけ悩んだって結果は最初から決まってる。

今度は僕が勇気を出す番だ。受け入れよう。二人のために。

そして僕らは約束した。