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高山圭太の場合0
そう、僕はあの時も聞いていたんだ。この「ぽ」みたいな不思議な音を。
そう、僕はあの時も聞いていたんだ。この「ぽ」みたいな不思議な音を。
そして、あの日から僕はもうイケなくなってしまった。
意識が途切れる中、僕をあざ笑うお姉さんの笑い声だけが頭の中に響き渡っていた。
僕の言葉を聞いた途端、バックミラー越しに見えるお父さん表情が凍りついたように動かなくなった。
「見かけたら逃げろ。ひと目で分かる。生け垣よりも背が高いんだ。たぶん3メートルくらいある」
だから……本当はまだ心のどこかでもう一度お姉さんに会いたいと思っていることは話せなかった。
僕は嘘つきだ――――。
もうセックスの事以外、なにも考えられなくなって、ついに僕はお父さんに告げた。
「今度こそ大丈夫」
もし八尺様を目撃したり、八尺様と遭遇してしまった場合は、自分で解決しようとせず、かならず怪異対策課へご連絡ください。命を守る行動を。【緊急ダイヤル】988【相談ダイヤル】#9888