Locked

サキュバスのパイズリ

「おら、餌の時間だ、起きろ」

朦朧とした意識の中、ドスの利いた声で目が覚めると、視界の中に見知らぬ男がいた。

「ぁぅ……がぅぁ」

『誰だ』と、言いたかった。だがその気持ちは声にならなかった。

しんどい。それ以外の言葉が見当たらない。自分はどうやら拘束されているらしいが、暴れる気が全く起きないほど、弱っているようだった。

見下ろすと、自分は全裸で、信じられないほどやせ細った身体になっていた。それとは対照的に、萎えた状態でもわかる異様にでかいチンコ。一体なにがどうなって……。

「かぅ……か」

「おら、餌だぞ」

ドスの利いた声にピッタリな外見の、どう見てもカタギじゃないその男はそういうなり、断りなく俺の顔を掴み、ジョウゴのような器械を口にねじ込んできた。

そしてその直後、すぐに鉛臭いドロドロとした液体が喉に注がれ始めた。

「っ……」

喋ることもできない俺がその異物を拒むことはもちろん、飲み込むことすらできるはずがなかったが、そんなこともお構いなしに、噴射の圧力で食道を通り過ぎていく。

異物が身体に流れ込む不快感。窒息の苦痛。体力があればとっくにえずいて吐き出しているにちがいない。しかし驚いたことに、極度の飢餓状態であるらしい今の自分には、これすら食事の快感として知覚されたらしい。自分の意思では決して動かなかった喉が勝手に動いて、大量の液体をグイグイと飲み干していく。飲み込むたびに甘美な快感が全身に広がる。

「そうだ、よく食え」

しかし飲み込み続けてまもなく、あっという間に身体が限界を知らせる。もう入らない。快感はたちまち耐え難い苦痛に変わっていく。

「腹減ってんだろ、くえって」

男は容赦なく、更に深く噴出口を押し込んでくる。液体が鼻から溢れ出て、完全に呼吸ができない。

無理だ、意識が遠のいて……。

――――――――。

――――。

――。

「おい、餌の時間だぞ。今度はお前が餌になる番だけどな。ぶ、ぶははは」

男の笑い声で目が覚める。

「誰だ……ここは……」

「おう、だいぶ元気になったな」

男は満足げにそう言う。自分の体を見下ろすと、前見たときははやせ細っていたはずが、いつもの自分の体型に戻っている。チンコが異様にデカいのは変わらないが……。

「すまねえが、カワイコちゃんがもう腹ペコみたいでな」

「……?」

「ホントはもう少しあんたの回復させるつもりだったんだが、大事な商品に餓死されるわけにいかねえんで」

「なにを……なに……」

「なんだ忘れたんか。随分楽しんだのによ。いやあ、3段目までいって生きてるなんて、あんたとんでもねえぜ」

「……?」

記憶に引っかかるものがある。でも、なんのことかわからない。

「ま、嫌でも思い出すだろうよ」

そういうなり男はガスマスクを装着し、壁のスイッチを押した。

ブザーが鳴り出し、機械式の扉がゆっくりと開くのと同時に、強烈な匂いを感じて――。

俺はすべてを思い出す。

「うわああああああああ!」

この匂い。この匂いは。

身体はすべてを覚えている。その異臭――フェロモン――を。食料を喰らい尽くすために進化した「穴」を。

「たすげっ、だすけて!!!」

正気にが保てているうちに、本心を叫ぶ。無駄とわかっていても、叫ばずにはいられない。思い切り暴れて拘束具が身体に食い込むが、その痛みで、フェロモンの支配になんとか抵抗する。

そうして、一見すると細身の麗しい女性にしか見えないそれが、目の前に現れた。俺の知っている姿とは違うけど、匂いでわかる。それがこの世のものではない、正真正銘の悪魔であることが。

「こいつは最近『ドカ食い』を覚えたばっかだからなぁ、やんちゃだぞ。いいなあ、俺もいっぺん味わってみてえよ」

ガスマスク越しに、完全に他人事の様子で男がつぶやく。こいつは知らないのだ。生命が吸い尽くされるあの狂った快感の恐怖を。

自分のものとは思えない肥大化したチンコがたちまち持ち上がる。血液の大部分を持っていかれたせいか、頭がクラッときた。必死の抵抗も虚しく酸素をもとめ思い切り息を吸ってしまう。

一度吸ってしまったら最後、匂いを求めて過呼吸状態になった身体はフェロモンに支配され、自分が餌であるという事実を、心の底から受け入れてしまうのだった――。

05:30 (330s)
このコンテンツにアクセスするにはAll Acces Tierに参加する必要があります。